【第2回】巻き肩を改善!理学療法士直伝の深い呼吸を作る胸ひらき習慣

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1. はじめに:姿勢が変われば、呼吸が変わる

「なんだか最近、疲れが取れにくいな……」

「デスクワークが続くと、胸のあたりが詰まった感じがする……」

こんにちは、理学療法士の陽耀(Haruki)です。

5日間プログラムの第2回にお越しいただき、ありがとうございます。昨日の「首のケア」は少しでも取り入れられましたか?「たった1回でもできた!」という方は、すでに素晴らしい一歩を踏み出しています。

さて、今日のテーマは「胸と背中」です。

現代人の多くは、スマホやパソコンの操作で、両肩が内側に丸まった「巻き肩」の状態になっています。この姿勢が続くと、肺が大きく膨らむスペースが狭まり、知らず知らずのうちに呼吸が浅くなってしまいます。

呼吸が浅くなれば、全身への酸素供給が減り、疲れやすくなるのは当然のこと。

今日お伝えしたいのは、「胸をひらいて、深く吸える体を取り戻す」ためのワークです。

ここで改めて、このシリーズで大切にしているマインドを共有しましょう。

それは、「目標をしっかり持って継続すること。でも、その考えだけに縛られないこと」です。

「毎日ビシッと胸を張らなきゃ」と自分を律しすぎる必要はありません。疲れたらまた丸まってもいいんです。ただ、「あ、今は胸が閉じているな」と気づいたら、また今日お伝えするワークを思い出してください。その繰り返しが、あなたを疲れにくい、堂々とした体へと導く「灯台」になります。


2. 「緩めてから、鍛える」胸まわりのアプローチ

第1回でもお伝えした通り、姿勢改善の鉄則は「順番」にあります。

巻き肩になっている時、体の前側の筋肉は「ギュッと縮んで固まった」状態。逆に背中側の筋肉は「弱くなって伸びきった」状態になっています。

この状態でいきなり背筋を鍛えようとしても、前側の「縮んだ筋肉」がブレーキをかけてしまい、うまく動きません。

  1. 緩める(ストレッチ): 胸の前側のブレーキを外し、肩を後ろへ動かしやすくする。
  2. 鍛える(筋トレ): 肩甲骨を寄せるスイッチを入れ、正しい位置をキープできるようにする。

この順番を守ることで、無理に力を入れなくても、自然と胸がひらく感覚を味わえるようになります。


3. 【第2回:緩める】前側のブレーキを外すワーク

まずは、肩を内側に引っ張っている大きな原因、胸の表面を覆う大きな筋肉(大胸筋)と、その奥にある小さな筋肉(小胸筋)を緩めていきましょう。

壁などを使わなくても、自分の手と動きだけで、座ったまま簡単にできる方法をご紹介します。

①【ほぐし】奥の黒幕にアプローチ

  1. そこを優しく円を描くように15秒ほど、指先でほぐします。これだけで、肩の「根っこ」の緊張が解けていきます。
  2. 右手の指先(3本くらい)を、左側の脇の下に近い「胸の付け根」に当てます。
  3. 鎖骨(さこつ)の下あたりで、少しコリコリとした感触がある場所が、胸の奥にある小さな筋肉(小胸筋)です。

②【ストレッチ】全体を大きくひらく

  1. 胸の表面を覆う大きな筋肉(大胸筋)が心地よく伸びるのを感じながら、深呼吸を3回行います。
  2. 両肘を90°に曲げて、脇をしめます。
  3. 息をゆっくり吐きながら、同時に、左右の肩甲骨を中央に寄せ、胸の真ん中を斜め上へ突き出します。

ポイント: 腰を反らせるのではなく、あくまで「胸の真ん中を広げる」意識が大切です。もし後ろで手が組めない場合は、椅子の背もたれを掴むだけでも、十分に同じ効果が得られますよ。


後半では、開いた胸を安定させるための背中のトレーニングと、仕事の合間でも「縛られずに」続けられるコツをお伝えします。


4. 【第2回:鍛える】肩甲骨を寄せる「姿勢のエンジン」

胸が緩んだら、次は開いた肩を正しい位置で支える筋肉にスイッチを入れます。

狙うのは、肩甲骨の間に位置する、背中を寄せる筋肉(菱形筋)です。ここがいわば、姿勢を美しく保つための「背中のエンジン」になります。

【筋トレワーク:W字スクイズ】

【手順】

  1. 背筋を伸ばして座るか立ちます。
  2. 両腕を上げ、肘を曲げて、アルファベットの「W」の形を作ります。
  3. 息を吐きながら、左右の肩甲骨を中央に「ギュッ」と寄せるように、肘を斜め後ろに引き下げます。
  4. 肩甲骨の間に位置する、背中を寄せる筋肉(菱形筋)に力が入っているのを感じたら、そこで3秒キープ。
  5. ゆっくりと力を抜きます。これを5〜10回繰り返します。

ポイント:

腕の力で引くのではなく、「肩甲骨の間にある1円玉を挟む」ようなイメージで行うのが、肩甲骨の間に位置する、背中を寄せる筋肉(菱形筋)を正しく働かせるコツです。先程のストレッチと似ていますが、腕の角度が違うだけで効果が変わってきます。


5. 専門的な視点がくれる「自分への安心感」

今回、大胸筋菱形筋といった名前を使いましたが、理学療法士として私がこれらをお伝えするのは、あなたに「自分の体の仕組み」を知ってほしいからです。

「なぜか肩が重い」という漠然とした不安も、「ああ、今は前側の筋肉が縮んでいるから、少し緩めてあげよう」と仕組みがわかれば、自分自身で対処できる「安心感」に変わります。

体は、あなたが無理をすればするほど、筋肉を固めて守ろうとします。逆に、仕組みを知って優しくアプローチすれば、驚くほど素直に応えてくれます。


6. 継続のヒント:デスク環境を「味方」にする

「10分間のワーク」を毎日の儀式にするのは素晴らしいですが、それに縛られてストレスを感じては本末転倒です。日常生活の中に、自然とこの動きを組み込んでしまいましょう。

  • パソコン作業の一区切りで: 1時間に一度、椅子に座ったまま「W字」を作って肩甲骨を寄せる(菱形筋の刺激)。
  • トイレに立った時に: ドアの縁(ふち)を使って胸を伸ばす(大胸筋のストレッチ)。

「運動の時間」をわざわざ作ろうとせず、生活の隙間に「ちょこちょこ」と挟み込む。この「良い意味で適当な継続」こそが、結果として灯台(目標)へとあなたを運び、理想の姿勢を定着させてくれます。


7. 第2回のまとめ:深く吸える喜びを味わう

今日のメニュー、お疲れ様でした! 今、もう一度深呼吸をしてみてください。始める前よりも、肺に空気がたっぷり入る感覚はありませんか?

  • 緩める: 胸の表面を覆う大きな筋肉(大胸筋)と奥の小さな筋肉(小胸筋)を、背中の後ろで手を組む動きで開放。
  • 鍛える: 肩甲骨の間に位置する、背中を寄せる筋肉(菱形筋)を呼び覚まして正しい位置をキープ。
  • マインド: 完璧を目指さず、隙間時間で自分の体を労わる。

胸がひらけば、視線が自然と上がり、周囲からの印象も「若々しく、頼もしい」ものに変わります。何より、あなた自身が「呼吸のしやすさ」を感じられることが一番の成果です。


8. おわりに:明日は「お腹と腰」の安定へ

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

自分自身のために時間を使った今日のあなたを、まずはしっかり認めてあげてください。

明日の第3回では、体の中心部である「腰とお腹」のバランスを整えます。

腰を支える背中の筋肉(脊柱起立筋)を緩め、お腹の天然のコルセット(腹横筋・腹斜筋)を呼び覚ます内容です。ここが安定すると、立ち仕事もデスクワークも驚くほど楽になりますよ。

それでは、また明日お会いしましょう。