かかと上げ(足関節底屈運動)の効果と正しいやり方
こちらのかかと上げは、椅子に座った姿勢でかかとを持ち上げることで、 ふくらはぎの筋肉を鍛えるシンプルな自主トレーニングです。 立位が不安定な方でも安全に行いやすく、 歩行能力の維持や下肢の筋力低下予防を目的として幅広く活用されています。 日常生活動作を支える基礎的な運動のひとつです。
① かかと上げで鍛えられるメインの筋肉
かかと上げの主なターゲットは下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)です。 立位でのかかと上げの場合は腓腹筋とヒラメ筋の双方に効果的ですが、座位のかかと上げの場合は、膝が曲がっていることもあり、特にヒラメ筋に効果が大きいです。 下腿三頭筋は足首を伸ばす働きを担い、 歩行時の蹴り出しや立ち上がり、階段昇降などに大きく関与します。 この筋肉を鍛えることで、下肢の推進力や安定性の向上が期待できます。
② かかと上げの正しい運動方法(椅子座位)
- 椅子に浅く腰かけ、背筋を伸ばす
- 両足を床に接地し、膝は約90°に保つ
- つま先は床につけたまま、かかとをゆっくり持ち上げる
- しっかりかかとが上がったら、2〜3秒キープする
- 反動を使わず、ゆっくり元の位置に戻す
動作中はつま先が床から離れないよう注意し、 足首の動きに集中して行います。 かかとを上げる時も下げる時も、ゆっくりとした動作を意識することで、 下腿三頭筋への刺激が高まり、フォームも安定します。 膝に手を乗せると、自重効果がアップします。
③ 回数とセット数の目安
【筋力向上・歩行機能改善を目的とする方】
かかとを持ち上げた位置で2〜3秒キープし、ゆっくり元に戻します。 10回を1セットとし、 慣れてきた方は2〜3セット行うと効果的です。 ふくらはぎの筋力を意識しやすく、歩行時の蹴り出し動作の改善に役立ちます。
【持久力向上・健康維持向け】
キープは行わず、一定のリズムで動作を繰り返します。 2〜3秒でかかとを上げ、2〜3秒でゆっくり戻す動作を連続して行います。 15〜20回を1セットとし、 慣れてきた方は3セット行うと無理なく継続できます。
④ 他に効果が期待できる部位
かかと上げでは下腿三頭筋に加えて、 足部の安定に関わる筋群や足関節周囲の支持筋も協調して働きます。 足首を繰り返し動かすことで血流促進効果が期待でき、 下肢のむくみ対策やコンディショニングにも役立ちます。
⑤ 禁忌・注意点
足首やアキレス腱、膝に痛みがある場合は無理に行わないようにしてください。 勢いをつけて行うと筋肉や腱への負担が増えるため注意が必要です。 痛みや違和感が出た場合は中止し、必要に応じて専門家に相談してください。
⑥ 鍛えることで得られる効果と歩行への影響
下腿三頭筋を鍛えることで歩行時の蹴り出しが力強くなり、 歩幅や歩行スピードの維持につながります。 また、立ち上がりや方向転換時の安定性も高まり、 転倒予防の観点からも重要な役割を果たします。 かかと上げは、下肢機能を支える基本的かつ効果的な運動です。