関西国際空港はなぜ地盤沈下?関空のジャッキアップと技術者3人を解説
関西国際空港はなぜ地盤沈下?関空のジャッキアップと技術者3人を解説
関西国際空港はなぜ地盤沈下する?関空を支える技術者にも注目
大阪湾の海上に造られた関西国際空港では、人工島の地盤沈下と向き合いながら空港機能を維持するため、さまざまな対策が続けられています。
第1ターミナルビルでは、場所によって沈み方が異なる不同沈下に対応するため、柱の高さを調整するジャッキアップを採用。さらに空港島では、護岸の嵩上げや滑走路の嵩上げなど、地盤沈下や自然災害を考慮した対策も行われてきました。
こうした関空の維持・防災に携わってきた技術者として、坂本岳志氏、古城鉄也氏、岡田俊氏らの名前も確認できます。
この記事では、関空で地盤沈下が起こる仕組みと現在の状況、ジャッキアップによる対策を中心に、空港を支えてきた技術者たちの取り組みについても分かりやすく紹介します。
1. 関西国際空港はなぜ地盤沈下する?関空が抱えた難題
関西国際空港で地盤沈下が起こる大きな理由は、人工島の重みによって海底の粘土層が圧縮されるためです。
関空の海底地盤には水分を多く含む粘土層があります。その上に大量の土砂を積み上げて人工島を造成すると、大きな荷重によって粘土層から水が排出され、地盤が圧縮されます。
このため関空では、建設時だけでなく開港後も地盤の状態を継続して観測し、沈下に合わせて施設を維持することが重要な課題となっています。
関空の地盤沈下を理解するポイント
人工島が突然大きく沈んでいるのではなく、その重みによって海底の粘土層が長い時間をかけて圧縮されています。関空では、この沈下を計測しながら施設への影響を抑える対策が続けられています。
1-1. 関西国際空港は海上に造られた人工島
関西国際空港は大阪湾の泉州沖に建設され、1994年9月4日に開港しました。海上に人工島を造成し、その上に滑走路やターミナルなどの空港施設が整備されています。
海上空港とすることで、周辺地域への航空機騒音の影響を抑えながら24時間運用できる環境を確保できる一方、建設予定地の海底には厚い粘土層が存在していました。
そのため、人工島の造成では完成後に地盤がどの程度沈下するのかを予測しながら建設するという難しい課題に向き合うことになりました。
第1ターミナルビルは本館と南北のウイングを合わせて全長1,672mに及びます。この巨大な建物を沈下する人工島の上で使用し続けるため、建物側にも地盤の変化へ対応できる仕組みが必要でした。
1-2. 関空建設で問題となった軟弱地盤と地盤沈下
関空の海底地盤には、海底近くの沖積層と、そのさらに深い場所にある洪積層があります。
軟らかい沖積粘土層では、地中に砂の柱を設けて水分を排出しやすくするサンドドレーン工法などによる地盤改良が行われ、人工島造成中に沈下を促進させました。
一方、さらに深い地層まで含めると長期的な沈下が続くため、関空では沈下そのものを考慮した施設の維持管理が必要になります。
特に建物への影響を考えるうえで重要なのが、場所によって沈下量が異なる不同沈下です。
地盤がほぼ均等に沈む場合と異なり、場所ごとに沈み方が違うと建物に傾きが生じる可能性があります。第1ターミナルビルでは、この不同沈下に対応するため、900本の柱について沈下量を計測し、必要な場所の高さを修正できるジャッキアップシステムが採用されています。
1-3. 開港後も地盤沈下への対応が続いている
関西国際空港の地盤沈下対策は、1994年の開港によって終わったわけではありません。
2025年12月時点で公表されている1期島の計測結果では、17か所の計測点における直近1年間の平均沈下量は5cmです。
1994年の開港から2025年12月までの平均沈下量は3.90mで、埋め立て開始から開港までの平均9.82mを合わせると、平均総沈下量は13.72mとなっています。
ただし、沈下する速度は開港当初より低下しています。開港した1994年には年間約50cmだった沈下量は、その後減少し、2007年以降は年間10cm未満の水準で推移しています。
こうした長期的な地盤変化に対応するため、関空ではターミナルビルだけでなく、滑走路や護岸などの空港インフラについても維持・防災対策が行われてきました。
関空の維持・防災に携わってきた技術者
- 坂本岳志氏:関西エアポートで基本施設に関する業務に携わり、LCCエプロン拡張整備や、2018年の台風21号被災後に進められた防災機能強化対策のA滑走路嵩上げ工事などを担当したことが公的資料で確認できます。
- 古城鉄也氏:関西エアポートの関西空港技術部・空港島保全グループに所属し、地盤沈下を考慮した護岸の嵩上げ・補強工事に携わったことが国土交通省近畿地方整備局の資料で確認できます。
- 岡田俊氏:関西エアポートの技術者として、土木学会誌の第1ターミナルビル「ジャッキアップシステム」の取材に協力しており、関空を地下から支える仕組みに関わる人物として確認できます。
3人の役割は同一ではありませんが、関空という特殊な環境で、建物、滑走路、護岸などの施設を維持する取り組みに関わってきた技術者として、それぞれの活動を確認できます。
関西国際空港の地盤沈下への対応は、一つの技術や一人の技術者だけで成り立つものではありません。地盤を観測し、建物を調整し、護岸や滑走路を維持するなど、複数の分野にまたがる取り組みが現在の関空を支えています。
2. 関西国際空港の地盤沈下に挑んだ技術者たち
関西国際空港の地盤沈下対策は、一つの設備や一人の技術者だけで成り立っているわけではありません。
第1ターミナルビルのジャッキアップによる不同沈下対策に加え、護岸の嵩上げ・補強、滑走路の嵩上げなど、空港を維持するための取り組みが長期にわたって続けられています。
公的資料や土木学会の資料からは、こうした関空の維持・防災に携わってきた技術者として、坂本岳志氏、古城鉄也氏、岡田俊氏らの名前を確認できます。
2-1. 坂本岳志氏は関空の滑走路整備や防災機能強化に携わる
坂本岳志氏は、関西エアポートで関西国際空港の基本施設に関する整備に携わってきた技術者です。
国土交通省近畿地方整備局の2016年度研究発表会では、関西エアポート株式会社の技術・施設部基本施設グループ所属として、関西国際空港におけるLCCエプロン拡張整備について報告しています。
この整備では、第2ターミナルの拡張に合わせ、航空機が駐機するエプロンや誘導路などの整備が行われました。
その後、坂本氏は2018年9月の台風21号による被災を受けて進められた関西国際空港の防災機能強化対策にも携わっています。
国土交通省の資料では、関西エアポート株式会社の基盤技術部関空基本施設グループ所属として、A滑走路嵩上げ工事について報告しています。
この工事は、嵩上げされた護岸との関係から必要となる制限高さを確保するため、A滑走路を嵩上げした大規模工事です。航空灯火の復旧を含む一連の工事は2022年10月に完了したと報告されています。
坂本岳志氏の関空での主な取り組み
公的資料では、LCCエプロン拡張整備や、台風21号被災後の防災機能強化対策におけるA滑走路嵩上げ工事への関与を確認できます。関空の基本施設を整備・維持する側から空港運用を支えてきた技術者の一人です。
2-2. 古城鉄也氏は地盤沈下を考慮した護岸の嵩上げ・補強に携わる
古城鉄也氏については、関西国際空港の地盤沈下と直接関係する護岸対策への関与が公的資料で確認できます。
2018年度の国土交通省近畿地方整備局研究発表会では、関西エアポート株式会社の関西空港技術部・空港島保全グループ所属として、齋藤祐樹氏とともに「関西国際空港における護岸の嵩上・補強工事について」を発表しています。
関空では地盤沈下によって護岸の高さも低下していくため、高潮や津波に対して必要な高さを下回らないよう、計画的な嵩上げと補強が必要になります。
この資料では、2期島の北西側に位置する延長約6kmの護岸を3m嵩上げする工事について報告されています。
しかも、工事場所は運用中の滑走路に近く、作業できる空間も限られていました。そのため、空港運用への影響を考慮しながら施工方法や使用する機械を検討する必要がありました。
古城鉄也氏と関空の地盤沈下対策
古城氏について公式に確認できる代表的な取り組みの一つが、地盤沈下を考慮した護岸の嵩上げ・補強です。ターミナルビルの不同沈下対策とは方法が異なりますが、沈下する人工島で空港機能を維持するという共通の課題に対応しています。
2-3. 岡田俊氏は第1ターミナルのジャッキアップに関わる技術者
岡田俊氏は、関西エアポートの技術者として、第1ターミナルビルのジャッキアップシステムに関する土木学会の取材に協力した人物です。
土木学会誌2021年9月号では「関西国際空港を地下から支えるジャッキアップシステム」と題した特集が掲載され、取材協力者として岡田氏を含む関西エアポートの担当者が紹介されています。
第1ターミナルビルでは、地盤の場所によって沈下量が異なる不同沈下への対策として、柱の高さを調整できる仕組みが採用されています。
900本の柱について沈下量を計測し、調整が必要な部分をジャッキで持ち上げて鉄板を挟むことで、建物の高さを修正します。
岡田氏については、確認できる資料の範囲を超えてジャッキアップシステムの考案者などと断定することはできません。一方、関西エアポート側の技術者として、ジャッキアップシステムに関する専門的な取材に協力していることは土木学会の資料から確認できます。
2-4. 3人は異なる立場から現在の関空を支えてきた
坂本岳志氏、古城鉄也氏、岡田俊氏は、それぞれ確認できる担当分野が異なります。
- 坂本岳志氏:LCCエプロン拡張整備やA滑走路嵩上げ工事
- 古城鉄也氏:地盤沈下を考慮した護岸の嵩上げ・補強工事
- 岡田俊氏:第1ターミナルビルのジャッキアップシステムに関する技術的な取り組み
関西国際空港の地盤沈下対策というと、ジャッキアップだけが注目されがちです。しかし実際には、建物、滑走路、護岸など、それぞれの施設に合わせた対策が必要になります。
関空を長期にわたって運用するためには、沈下量を計測して建物を調整するだけでなく、地盤沈下や自然災害を考慮しながら空港島全体のインフラを維持していくことが重要です。
3人の技術者の取り組みは、分野こそ異なるものの、沈下し続ける人工島の上で関西国際空港の機能を維持するという大きな課題につながっています。
3. 関空を支えるジャッキアップとは?仕組みを解説
関西国際空港の第1ターミナルビルでは、地盤沈下によって場所ごとに高さの差が生じる不同沈下への対策として、ジャッキアップシステムが採用されています。
この仕組みは人工島そのものを持ち上げるものではありません。ターミナルビルを支える柱の沈下量を計測し、必要な場所だけ高さを調整することで、建物への影響を抑えています。
土木学会誌では、関西エアポートの岡田俊氏らが取材協力者として紹介されており、現在まで続く関空の維持管理を知るうえでも重要な技術です。
3-1. ジャッキアップは沈下した建物の高さを調整する技術
関空のジャッキアップは、地盤沈下そのものを止める工法ではなく、沈下によって生じる建物の高さの差を修正するための仕組みです。
第1ターミナルビルでは、柱と基礎の間に高さを調整できる構造が設けられています。調整が必要になった部分を油圧ジャッキで持ち上げ、その隙間にフィラープレートと呼ばれる鉄板を追加して高さを修正します。
人工島を持ち上げる工事ではない
ジャッキアップの対象は関空島全体ではなく、第1ターミナルビルの柱部分です。沈下の状態に合わせて建物側の高さを調整し、不同沈下による影響を抑えています。
地盤が沈むことを前提としながら、実際の変化に応じて建物を調整できる点が、このシステムの大きな特徴です。
3-2. 関西国際空港を支える900本の柱
関西エアポートによると、第1ターミナルビルには900本の柱があり、それぞれについて沈下量が自動計測されています。
重要なのは、900本すべてを一律に持ち上げるわけではないことです。計測したデータから高さの修正が必要な柱を特定し、必要な場所に対してジャッキアップを行います。
関空では地盤全体が完全に均一に沈むわけではありません。場所によって沈下量に差が生じるため、柱ごとの状態を把握することが不同沈下への対応につながります。
ジャッキアップの基本的な流れ
- 各柱の沈下量を計測する
- 高さの修正が必要な柱を特定する
- 油圧ジャッキで対象部分を持ち上げる
- 隙間に鉄板のフィラープレートを追加する
- 高さを調整して建物への影響を抑える
3-3. 岡田俊氏らが関わるジャッキアップの維持管理
関空のジャッキアップシステムについては、土木学会誌2021年9月号でも詳しく取り上げられています。
「関西国際空港を地下から支えるジャッキアップシステム」と題した記事では、第1ターミナルビルの機械室が取材され、関西エアポートの瀬口均氏、岡田俊氏、森本将司氏、田中さち氏が取材協力者として明記されています。
この資料から、岡田俊氏が関西エアポート側の技術者として、ジャッキアップシステムに関する専門的な取材に携わっていたことが確認できます。
一方で、確認できる資料だけから岡田氏を「ジャッキアップシステムの考案者」や「開発者」と断定することはできません。そのため、岡田氏については関空のジャッキアップシステムに関わる技術者の一人として捉えるのが適切です。
3-4. なぜ関空ではジャッキアップが必要なのか
関西国際空港では、人工島の地盤沈下が長期的に続くことを考慮して施設が管理されています。
しかし、建物にとって問題になるのは沈下量だけではありません。場所によって沈み方が異なれば、建物に傾きや高さの差が生じるため、不同沈下への対応が必要になります。
そこで第1ターミナルビルでは、沈下の状況を計測するだけでなく、必要になったときに建物側から高さを修正できる構造が取り入れられました。
地盤沈下が徐々に安定してきたことから、関西エアポートによると、現在のジャッキアップは数年に1回程度となっています。
坂本岳志氏が携わった滑走路などの基本施設、古城鉄也氏が携わった護岸の嵩上げ・補強、そして岡田俊氏らが関わる第1ターミナルビルのジャッキアップは、それぞれ対象とする施設や方法が異なります。
関空では、こうした複数の対策を組み合わせることで、地盤沈下が続く人工島の上にある空港施設を維持しています。
ジャッキアップのポイント
関空の第1ターミナルビルでは、900本の柱の沈下量を計測し、必要な部分をジャッキで持ち上げて鉄板を追加することで高さを調整しています。人工島の地盤沈下を止めるのではなく、不同沈下による建物への影響を抑えるための仕組みです。
4. 関西国際空港の地盤沈下は現在どうなっている?
関西国際空港の地盤沈下は、開港から30年以上が経過した現在も続いています。ただし、沈下する速度は開港当初と比べて大きく低下しています。
関西エアポートが公表している2025年12月時点のデータでは、1期島の17か所の計測点における直近1年間の平均沈下量は5cmです。
関空では地盤沈下を継続的に計測し、第1ターミナルビルのジャッキアップ、護岸や滑走路の嵩上げなど、それぞれの施設に応じた維持・防災対策が行われています。
4-1. 関空の地盤沈下は現在も続いている?
関空の地盤沈下は現在も続いています。
関西エアポートによると、1期島では埋め立て開始から1994年の開港までに平均9.82m、開港から2025年12月までに平均3.90m沈下しています。これを合わせた平均総沈下量は13.72mです。
一方、沈下する速度は時間の経過とともに低下しています。開港した1994年には年間約50cmだった沈下量は、その後減少し、2007年以降は年間10cm未満の水準で推移しています。
2025年12月時点の1期島
開港後の平均沈下量は3.90m、埋め立て開始からの平均総沈下量は13.72mです。直近1年間の平均沈下量は5cmとなっており、沈下は続いているものの、開港当初より速度は低下しています。
そのため、関西国際空港が現在も沈下していることは事実ですが、開港当初と同じペースで沈み続けているわけではありません。
4-2. 現在も行われているジャッキアップと沈下対策
地盤沈下が続く関空では、第1ターミナルビルの不同沈下を抑えるため、現在も必要に応じてジャッキアップが行われています。
900本の柱について沈下量を自動計測し、高さの修正が必要な場所を特定します。そのうえで対象部分をジャッキで持ち上げ、鉄板のフィラープレートを追加することで高さを調整します。
地盤沈下が徐々に安定し、不同沈下も少なくなってきたため、関西エアポートによると、現在のジャッキアップは数年に1回程度となっています。
つまりジャッキアップは開港前後だけに使われた技術ではなく、地盤の状態に合わせて現在も活用されている維持管理の仕組みです。
4-3. 護岸や滑走路でも地盤沈下・防災対策を実施
関空で地盤沈下への対応が必要なのは、ターミナルビルだけではありません。護岸や滑走路など、空港島を構成する基本施設についても、沈下や自然災害を考慮した整備が行われています。
古城鉄也氏らが報告した護岸の嵩上げ・補強工事では、地盤沈下によって護岸の高さが低下することを考慮し、2期島北西側の護岸を嵩上げする工事が進められました。
さらに、2018年9月の台風21号によって関空が大きな被害を受けた後は、防災機能強化対策が進められています。
その一環として、坂本岳志氏らが携わったA滑走路の嵩上げ工事も実施されました。護岸の嵩上げに伴って必要となる制限高さを確保するため、滑走路本体や航空灯火などを含めた工事が行われています。
関空で行われている主な対策
- 第1ターミナルビル:ジャッキアップによる不同沈下への対応
- 護岸:地盤沈下や高潮などを考慮した嵩上げ・補強
- 滑走路:防災機能強化に伴うA滑走路の嵩上げ
- 空港島全体:沈下量の継続的な計測と維持管理
4-4. 関空は地盤沈下を前提に維持管理を続けている
関西国際空港の地盤沈下対策で重要なのは、沈下を完全に止めることだけを目指すのではなく、地盤の変化を継続して把握し、必要に応じて施設側を調整するという考え方です。
第1ターミナルビルではジャッキアップ、護岸では嵩上げや補強、滑走路では必要な高さを確保するための整備など、施設ごとに異なる方法が取られています。
岡田俊氏らが関わる第1ターミナルビルのジャッキアップ、古城鉄也氏らが携わった護岸対策、坂本岳志氏らが担当した滑走路整備は、対象や工法こそ異なりますが、いずれも関空のインフラを長期にわたって維持する取り組みにつながっています。
関西国際空港の地盤沈下は過去の建設時だけのテーマではありません。人工島の状態を計測し、その変化に合わせて施設を整備・調整していく取り組みが現在も続いています。
5. 関西国際空港の地盤沈下とジャッキアップから見える技術者の挑戦
関西国際空港の地盤沈下対策を振り返ると、人工島を完成させることだけではなく、沈下が続く環境で空港を長期間運用するための仕組みを整え、維持していくことも重要な課題だったことが分かります。
第1ターミナルビルのジャッキアップ、護岸の嵩上げ・補強、滑走路の嵩上げなど、関空では施設ごとに異なる対策が取られてきました。坂本岳志氏、古城鉄也氏、岡田俊氏らの取り組みからも、関空を支える仕事が建設後も続いていることが分かります。
5-1. 関空建設を支えた技術とアイデア
関西国際空港では、人工島を造成する段階から地盤沈下を考慮した対策が行われました。
海底近くの軟らかい沖積粘土層では、砂の柱を地盤内に設けて水を排出しやすくするサンドドレーン工法などを採用し、造成中に沈下を促進させています。
一方、深い地層では長期的な沈下が続くため、空港施設にも沈下を前提とした対策が必要になりました。
その代表例が、第1ターミナルビルのジャッキアップシステムです。900本の柱について沈下量を計測し、必要な部分の高さを修正することで、場所によって沈下量が異なる不同沈下に対応しています。
関空の特徴は建設後の調整まで考えられていること
地盤を改良するだけでなく、沈下量を計測し、その結果に応じて建物や空港施設を調整・整備する仕組みが取り入れられています。
5-2. 坂本岳志・古城鉄也・岡田俊氏らが支える関空
関空の地盤沈下やインフラ維持に関する資料を確認すると、技術者によって担当する施設や役割が異なることが分かります。
坂本岳志氏は、関西エアポートで関空の基本施設に関する業務に携わり、LCCエプロン拡張整備や、2018年の台風21号被災後に進められた防災機能強化対策のA滑走路嵩上げ工事などに関わっています。
古城鉄也氏は、関西エアポートの関西空港技術部・空港島保全グループに所属していた当時、地盤沈下を考慮した護岸の嵩上げ・補強工事について報告しています。
岡田俊氏は、関西エアポートの技術者として、土木学会誌で取り上げられた第1ターミナルビルのジャッキアップシステムに関する取材に協力しています。
3人について確認できる主な取り組み
- 坂本岳志氏:LCCエプロン拡張整備、A滑走路嵩上げ工事など
- 古城鉄也氏:地盤沈下を考慮した護岸の嵩上げ・補強工事など
- 岡田俊氏:第1ターミナルビルのジャッキアップシステムに関する技術的な取り組み
3人を同じ役割の技術者としてまとめるのではなく、それぞれが確認できる範囲で担当した施設や取り組みを区別することが重要です。
関空の維持管理は、ターミナルビルだけで完結するものではありません。滑走路、エプロン、護岸なども含め、さまざまな分野の技術者によって空港のインフラが支えられています。
5-3. 関西国際空港を現在も支え続ける地盤沈下対策
関西国際空港は1994年の開港から30年以上が経過していますが、地盤沈下への対応は現在も続いています。
1期島では沈下量が継続して計測され、第1ターミナルビルでも900本の柱について状態を確認しながら、必要に応じてジャッキアップが行われています。
また、護岸や滑走路についても、地盤沈下や自然災害を考慮した整備・維持管理が行われてきました。
関空の地盤沈下対策は、完成した一つの技術だけで解決するものではありません。地盤の変化を計測し、その結果に合わせて必要な施設を調整・整備していく継続的な取り組みです。
関空の地盤沈下対策は現在も続いている
第1ターミナルビルのジャッキアップをはじめ、護岸や滑走路などにも対策が施されています。人工島の状態を継続的に確認しながら空港機能を維持していくことも、関西国際空港を支える重要な取り組みです。
関西国際空港の地盤沈下を知ることは、人工島がなぜ沈むのかを理解するだけではなく、空港を維持するためにどのような技術や仕事が必要なのかを知ることにもつながります。
関西国際空港の地盤沈下・技術者に関するFAQ
関西国際空港はなぜ地盤沈下しているのですか?
関西国際空港は大阪湾の海上に造成された人工島にあり、その重みによって海底の粘土層が圧縮されるため地盤沈下が起こります。粘土層に含まれる水が荷重によって排出され、地盤の体積が小さくなっていくことが主な仕組みです。
関空のジャッキアップとはどのような仕組みですか?
第1ターミナルビルの不同沈下に対応するため、調整が必要な柱の部分をジャッキで持ち上げ、隙間に鉄板のフィラープレートを追加して高さを修正する仕組みです。人工島全体をジャッキで持ち上げているわけではありません。
坂本岳志氏は関西国際空港で何をした人物ですか?
坂本岳志氏は、関西エアポートで関空の基本施設に関する整備に携わってきた技術者です。公的資料では、LCCエプロン拡張整備や、2018年の台風21号被災後に進められた防災機能強化対策におけるA滑走路嵩上げ工事などへの関与が確認できます。
古城鉄也氏は関西国際空港で何をした人物ですか?
古城鉄也氏は、関西エアポートの関西空港技術部・空港島保全グループに所属していた当時、関空の護岸対策に携わった技術者です。国土交通省近畿地方整備局の資料では、地盤沈下を考慮した護岸の嵩上げ・補強工事について報告していることが確認できます。
岡田俊氏は関空のジャッキアップに関わった人物ですか?
岡田俊氏は関西エアポートの技術者として、土木学会誌で紹介された第1ターミナルビルのジャッキアップシステムに関する取材に協力しています。確認できる資料の範囲では、ジャッキアップシステムの考案者や開発者と断定するのではなく、同システムに関する技術的な取り組みに関わる人物の一人として紹介するのが適切です。